工事の種類について

 黒腹さんはそれぞれの技術者について解説します。

専任技術者って?


「さて、工事の種類について説明が終わりましたので、建設業許可の要件の話に戻りましょう。」
「さっきは経営者についての要件でしたけど、次は何ですか?」
「次は三大要件の一つ『専任技術者が営業所ごとにいること』のお話です。」
「えーっと、営業所に専任しなければならない技術面を担う者の話でしたよね?」
「一定の資格や実務経験を有している者がなれるとこまでお話頂きました。」
「オイラは要件クリアしてるって聞いたっすよ~!」
「はい、その専任技術者についてご説明します。要件などは後でお話しますので、まずは専任技術者とは何かをお話します。」
「たしかに、そもそも専任技術者が何なのか、何で営業所に専任しないといけないか、まったく分かりません。」
「まず、建設業法では、建設業を営む場合の義務として、必要な技術者が大きく分けて2種類定められています。一つは『工事現場に配置すべき技術者』、もう一つは『営業所に専任すべき技術者』です。」
「工事現場に配置すべき技術者というのはなんとなくわかりますけど、何か決まりはあるんですか?」
「工事現場に配置すべき技術者は、元請、下請、請負金額に関係なく、必ず工事現場に配置しなければならない『主任技術者』と、特定建設業許可が必要な工事を下請に出す場合に、工事現場に配置しなければならない『監理技術者』がありますが、いずれも一定の要件があります。」
「要件の中の要件っすかぁ~!なんか覚えるのが面倒になってきたっす!」
「これらの要件も専任技術者と同じですから、後でまとめて説明しましょう。」
「工事現場で配置すべき技術者と言うのは、私たちで言うところの現場監督のことですよね? 職務としては工事の工程管理とか品質管理、安全管理をはじめ、各業者の管理とかをする・・・。」
「はい、まさにその通りです。法律上『現場監督』という用語は無く、主任技術者や監理技術者がこれに当たります。」
「じゃー、専任技術者ってのは何の目的があるんっすか?品質管理とか、業者管理なんて、営業所ではできないっすよ・・・。」
「そうですね。専任技術者の主な役割は、営業所で行う見積や契約、履行などを適正に行うための大きな責務を担うことです。発注者の期待に応えるために必要なことになります。」
「なるほどね・・・。そういう意味では、営業所の定義とか、建設業許可の要件の一つ『誠実性があること』にリンクするのね!!」
「鋭いですね・・・。その通りです。結局のところ、行政は許可を与える業者に対して、適正な工事の施行や、発注者の保護を実現できるか否かを問うているわけです。」
「なるほど!よくわかりました!でも、仮に俺が建設業許可を受けた場合、俺か秋田が専任技術者になってしまったら、残りの1名しか工事現場に専任できないし、2つの工事は受けられないってことになるんですか?」
「たしかに、て個人事業主や、設立して間もない法人においては技術者 が決して多くはありません。この場合、三つの条件を満たせば専任技術者と主任技術者を兼任することができます。」

専任技術者と配置技術者を兼任するための条件

  1. 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事できる場合(工事現場と営業所が近く、当該営業所と常時連絡が取れる)
  2. 法人の場合、直接・恒常的な雇用関係であること
  3. 請負金額が2,500 万円(建築一式工事の場合、5,000 万円)以下で公共性のある工事でないこと(戸建ての個人住宅を除く)」

  4. 「なお、本当は『一式工事』で許可を得ている建設業者が『専門工事』を行う場合に、『専門技術者』という技術者配置条件もあるのですが、細かい話ですので、省略します。」


    このページのまとめ

    専任技術者って?

    1. 建設業法では『工事現場に配置すべき技術者』と『営業所に専任すべき技術者』が定められている。
    2. 『工事現場に配置すべき技術者』には『主任技術者』と『監理技術者』がある
    3. 『営業所に専任すべき技術者』とは『専任技術者のことである。』
    4. これらを兼任するためには、一定の条件をクリアする必要がある。
    5. 『一式工事』許可業者が専門工事を行うために、配置すべき『専門技術者』というものもあるらしい・・・
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